令和 7 年度町政執行方針
1.はじめに
令和 6 年斜里町議会定例会 3 月定例会議にあたり、町政執行の基本的な方針と主要な施策につきまして、私の所信を申し上げ、町議会議員並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
日々の生活においては、物価高騰が続く中で経済的な負担感が一層増しています。また、少子高齢化の進展と人口減少に伴い、生産年齢人口の減少が深刻化しており、その影響は担い手不足という形で現れています。職場や地域コミュニティなど、さまざまな場面で人材確保が困難になるという実害が顕在化し、社会に大きな課題を投げかけています。斜里町においても、農林漁業の一次産業をはじめ観光産業や介護・福祉、建設・土木とあらゆる業種において人材不足が顕在化しており、そこを技能実習生が補っている状況となっております。このことは今後のまちづくりを進めるうえで考慮すべき重要な要素であるといえます。
世界情勢に目を向けると、各地で戦争や内紛が続き、さらに政治的混乱が深刻化しています。また、コロナ禍を脱したものの、その影響は依然として世界に影を落としており、 加えて経済的な不安定さや環境問題の悪化など、将来の見通しが立ちにくい混沌とした状況が続いています。このような中で、世界中の人々が将来に対して漠然とした不安感を抱えているのではないでしょうか。
こうした状況の中、昨年の斜里町では基幹産業である農業や漁業は共に好調であった一 方で、観光業においては、全国的にインバウンド需要の増加を背景に回復基調がみられる中でも、遊覧船事故以来、依然として低迷が続いています。このような状況を踏まえ、令和 7 年度導入予定の入湯税超過課税の活用による観光振興策を検討してまいります。
令和7年度の実施事業については、昨年度同様、第7次総合計画の 6 つの基本目標に沿って項目整理しております。
施設関連に関しては、町立学校への空調整備が完了したことから、新たに産業会館、道の駅しゃりにおいてエアコン整備を行います。また、新学校給食センター建設に向けて、7 年度、移転先の斜里中学校旧北校舎の除却解体を行い、8 年度から建設に着手します。その他、開館から 26 年が経過したゆめホール知床の長寿命化改修、老朽化したウナベツスキー場リフト索道施設の更新、オロンコ岩トンネル落石防護ネットの修繕に着手します。さらに知床博物館の改修、展示更新、新たな温浴施設建設についても、具体的な検討を進めます。
防災関連に関しては、高規格救急車更新、救命ボート配備の他、ボンベ、ホース等消防 資機材の順次更新を予定しています。
地域福祉関連に関しては、課題が複雑化する中で、介護、障がい、生活困窮など多岐にわたる支援を一体的に行う重層的支援体制整備事業が試行段階を経て本格稼働に移行します。また、地域医療対策では、町内で新たに開業する個人病院を支援するための助成事業を実施し、地域医療の充実と持続可能な医療体制の構築を目指します
全町的に担い手不足が深刻化している状況を踏まえ、さらなる関係人口の創出に向けた対策として、移住や二拠点居住の体験事業を推進するとともに、SNSを活用した情報発信を強化し、町外への魅力発信に積極的に取り組みます。
令和 7 年度、知床は世界自然遺産登録 20 周年を迎えます。昨年の国立公園指定 60 周年から引き続き 2 か年の各種記念事業を行います。遺産登録 20 周年の節目の年に、私たちの町づくりの基本理念である「みどりと人間の調和を求めて」をあらためて町民一人一人が心に刻む機会となるよう機運を醸成してまいりたいと考えております。
斜里町は、世界に誇れる豊かな自然環境と、それを基盤に農林漁業、商工観光業といった産業が成立しています。他地域にくらべて恵まれた自然資源を大切にしつつ、それらを活かした自信と誇りを持てるまちづくりをみんなで進められるよう努力していきます。
以下、令和 7 年度の執行方針について、具体的に示してまいります.
2.令和 7 年度の事業展開
基本目標 1 「自然と人が共生する豊かな環境づくりの推進」についてでありますが、
1 点目の「自然と人が共生する豊かな環境づくりの推進」については、
知床は令和 7 年度に世界自然遺産登録 20 周年を迎えることから、国、道、羅臼町や知床財団、協力企業とも連携を図り、昨年の国立公園指定 60 周年に引き続き 2 か年にわたる記念事業に取り組みます。また世界自然遺産地域を抱える全国自治体合同でのエキスポ 2025 大阪関西万博への出展機会を得たことから、羅臼町と共に知床の自然の魅力を広く発信します。
全国的にクマによる人身被害や市街地への侵入とその対応が話題となる中、ヒグマの高密度生息地である知床を抱える斜里町においても、状況変化に応じた適切な対応が必要です。
市街地の草刈りや電気柵の適切な維持更新を進め、予防対策を強化するとともに、知床財団や地元猟友会とも連携し、対応いただく従事者への支援を引き続き行い、危機対応力の充実に努めます。
また、人と自然の適正な関係性を維持するため、野生動物への餌付けや接近等の不適切な行為の防止、さけます釣りのローカルルールの普及定着に向けた取り組みを、関係機関と連携し引き続き進めます。
2 点目の「持続的発展が可能な脱炭素社会づくりの推進」については、
持続可能な社会の実現に向け、町立学校児童を対象とした環境教育に取り組むとともに、各種イベント等を通じて、地球温暖化や脱炭素社会の現状や課題について周知し、啓発活動を推進します。
また、商工会と連携して事業所向けの省エネ相談会の開催などを実施し、町内産業界も巻き込みながら機運を醸成し、取り組みの拡大を目指します。
ごみ処理に関しては、一般廃棄物広域処理施設整備に向けた事業を現行の 1 市 5 町の枠組みの中で進めるとともに、既存の中間処理施設については計画的な修繕を行い、広域化までの間、安定稼働を継続できるよう努めます。その他、最終処分場の延命にもつながるごみの減量減容、分別徹底など、町民への啓発にも取り組んでまいります。
基本目標 2 「産業が安定しつづけるまち」についてでありますが、
1 点目の「魅力と活力にあふれた次世代農業の実現」については、
JA しれとこ斜里とカルビー株式会社の協定が発表され、令和 9 年度の冷凍加工施設の稼働に向けて様々な面で準備が進められていくこととなります。稀にみる大型の事業として、町としても歓迎をし、発展につながるよう進めてまいりたいと考えております。
また農業関係としては引き続き安定した農業経営に向けて、多面的機能支払支援や新規就農者の育成に努めるほか、新たな「地域計画」に基づき、担い手への農地流動化対策を円滑に進め、優良農地の確保と計画的な土地利用を推進します。また、道営事業を活用して課題となってきた斜里峰浜 1 号道路の改修工事に着手するほか、美咲および以久科地域の農業排水路について災害被害が懸念される箇所の改修を進めます。
2 点目の「豊かな自然環境とともにある漁業と林業」については、
漁業では、町内の 3 漁港の適正な管理と整備を推進するとともに、「鮭、日本一のまち PR 事業」や各漁業協同組合が取り組む鮮度保持施設や低温室整備などの活動を支援し、漁獲物の付加価値の向上を図ります。また、不安定さを増しているサケマス資源の保護に取り組み、特に昨年から網走・小清水と広域的に進めている海浜利用の適正化ルールの定着を目指します。さらに、林業では計画的な町有林の森林施業に努めるとともに、民有林においても森林環境譲与税を活用した森林施業を促進します。
3 点目の「魅力的で持続可能な選ばれる観光地づくりの推進」については、
新たな「第 2 次斜里町観光振興計画」に基づき、旅行者・地域住民双方にとって魅力ある観光地づくりを目指します。全国的なインバウンド効果による伸びに対して、知床の観光入込客は、コロナ禍や海難事故の影響から伸び悩んでいるところであり、ふるさと納税、 旅先納税、新たな入湯税の超過課税といった観光振興財源を確保しながら、自然アクティビティの聖地「知床」としての魅力向上に向けて、観光データ調査分析、アクティビティサポートの推進、観光施設の修繕・整備などに取り組んでまいります。また、ウナベツスキー場については安全確保に向けた改修に取り組みます。
4 点目の「農林漁業と町民生活を支える自主的で活力のある中核的役割の推進」については、
「第 2 次斜里町商工業振興計画」に基づき、「ふるさと納税」を活用しながら、商工会と連携した「ビジネスサポートフォローアップ事業」を継続し、さらに、飲食店などの創業支援や、ふるさと納税返礼品の開発など、事業者への新たな挑戦に対する支援制度を充実させます。また、道の駅しゃりと産業会館については、クーリングシェルターとしての活用も考慮したエアコンの設置を進めます。
5 点目の「将来の斜里町産業の基盤づくりの推進」については、
斜里町の産業界において人手不足や人材の確保が最大の課題となっています。今後、さらに町の労働者人口の減少が確実となる中で、移住定住対策の推進や外国人労働者の受け入れ環境の改善など、町としても部局を横断して取り組んでまいります。
また、地域プラットフォームである「一般社団法人知床しゃり」が行う地域の魅力向 上、 地域活性化に繋がる各種取り組みを支援します。
基本目標 3 「安心して住みつづけられるまち」についてでありますが、
1 点目の「快適に暮らせる住環境の整備」については、
人口減少に伴い深刻な課題となりつつある空き家問題に対して、従来の「快適住まいのリフォーム事業制度」によるリフォームの推進、空き家解体への補助制度に加えて、新年度、空き家の実態調査を行うこととし、今後の施策につなげる考えです。また、空き家の利活用を進めるための空き家・空き地バンクを運営します。その他、ふるさと応援基金を活用し、港町公園の遊具の更新を進めます。
2 点目の「快適に暮らせる社会基盤の整備」については、
道路では都市計画区域内の 10 路線の整備をはじめ、郊外ではウトロ環状道路、中斜里 6 号道路、以久科豊倉 6 号道路の整備を行います。橋梁では 2 橋の修繕と 3 橋の設計、7 橋の塗膜調査を行うほか、トンネルの長寿命化として、オロンコ隧道の落石防護金網の修繕を行うなど、社会基盤の計画的な整備に努めてまいります。また、冬季除排雪体制の維持に向けて、除雪ダンプの更新を行います。
高齢者等の外出支援として、バス・ハイヤーの利用助成や市街地巡回バス事業などに 引き続き取り組むほか、地域性・効率性・利便性の視点を踏まえて「地域公共交通計画」を策定します。
その他、町営住宅については、町営住宅等長寿命化計画に基づき、光陽東団地 2 棟 18 戸の改修事業を進めるとともに、オホーツク斎場については、老朽化している火葬炉設備の修繕等を行います。
3 点目の「くらしを守る上下水道の整備」については、
令和 6 年度から下水道事業が公営企業会計としての運用を開始したことから、上下水道事業とも独立採算を原則とした持続可能な経営に努めるとともに、令和 7 年度からは検針にスマートメーターを導入し、検針業務の効率化と正確性の向上を図ります。また、令和 6 年元日に発生した能登半島地震でも課題となっている施設の耐震化などの防災対策に重点的に取り組んでまいります。
水道事業では、安全で安定した飲料水の供給を行うため、老朽管布設替工事や浄水場施設等の更新を行い、適正な維持管理に努めるほか、無水地区における飲料水の安定確保のため、各戸の生活用水施設に必要な支援をしてまいります。
汚水処理事業については、処理場施設等の更新を行い、適正な維持管理に努めるほか、更なるコスト縮減のための広域的な汚水処理を図ります。
また、合併浄化槽の普及促進についても設置に必要な支援策を継続してまいります。
4 点目の「安全・安心を守る防災体制が充実したまち」については、
全国的に自然災害が頻発する中で、地域防災計画の実効性を高めるため、より実践的で多くの町民が参加できるよう内容を工夫した上で、総合防災訓練を開催します。また、防災備品の整備については、停電断水時も使用可能な災害簡易トイレの拠点避難所への備蓄を順次進めます。その他、総合庁舎の防災拠点機能を高めるため、発災時の他自治体からの応援人員や支援物資等の受け入れ調整スペースの整備を行います。
5 点目の「消防・救急体制の充実」については、
消防活動の中枢である消防指令システムの更新に向けて、消防組合内で効率的な運用を 目指して協議を行い、より迅速な出動体制を目指します。
消火栓の計画的な更新整備を図るとともに、災害対応ドローンを導入します。また、 高規格救急車の更新及び救急隊員の資質向上、医療機関等の関係機関との連携強化を図るとともに、応急手当普及啓発活動として、各種事業所や自治会などを中心に救命講習会を開催し、救命率の向上に取り組みます。
消防組織体制については、職員のコンプライアンスの徹底をはじめ、各種訓練や研修等の参加など職員一人ひとりの資質の向上に努め、組織力の向上を図ります。
災害時の初動対応で重要な役割を担う消防団については、消防団員の確保対策や訓練、研修等を実施し、消防団体制の充実強化を図ります。
6 点目の「くらしの安全安心の推進」については、
防犯・消費者詐欺対策として、警察や町内関係団体と連携し、防犯意識の啓発に努めます。また、高齢者はもとより町民の交通事故防止のため、交通安全旗波作戦など交通安全意識を高める取り組みに努め、安心・安全なまちづくりを進めます。
基本目標4 「自分らしく健やかに暮らしつづけられるまち」についてでありますが、
1 点目の「地域の医療が充実しているまち」については、
町民が住み慣れた地域で安心して暮らし続ける上で、いつでも適切な医療が受けられる地域医療や救急体制の維持・確保が喫緊かつ最重要課題となっています。
4 月より事業継承される民間病院への支援としての「開業医誘致助成事業」や、斜網地域での「網走厚生病院高度医療機器整備支援事業」の取り組みとあわせて、引き続き旭川医大・北大・札幌医大などの医育大学・関係機関との連携、民間紹介事業者の活用を図りながら、医師をはじめとする医療従事者の確保・適正配置に努める中で、国保病院の経営安定化に向けた取り組みを進めてまいります。
2 点目の「みんなで健康づくりこころもからだも元気なまち」については、
町民の健康意識を高め、生活習慣を改善できるよう生涯を通じた健康づくりを支援 し、新年度から定期接種化される「帯状疱疹ワクチン」等の助成事業に取り組みます。また、町民が 24 時間 365 日、住み慣れた町で安心して暮らせるように『24 時間電話健康相談等事業』を開始し、気軽に医療に関する相談や心の相談が受けられる体制を整えます。
3 点目の「お互いを思いやり支えあいながら心かようまち」については、
少子高齢化が進む中、自治会活動等の住民同士が支え合う共助や協働の取り組みが重要であり、新年度から本格的に重層的支援体制整備事業を推進しながら、「地域共生社会の実現」に向け、取り組みを進めてまいります。さらに、特別養護老人ホームの維持に努めてまいります。
4 点目の「未来につなぐ子育て・子育ちのまち」については、
「第 3 期子ども・子育て支援事業計画」に基づき、子育て支援策を実行していきます。国の推進施策により「子ども家庭センター」を開設、令和 8 年度から創設される「こども誰でも通園制度」の研究、ウトロへき地保育所等の建て替えに向けて情報収集に努めます。
基本目標5 「生涯を通じて自分らしく学びつづけられるまち」についてでありますが、教育長から「教育行政執行方針」が示されますので、私は教育行政を支援する立場から主要な事項について申し上げます。
それでは、この分野の具体的な事業展開について、以下大きく 2 点に分けて申し上げます。
1 点目の「一人ひとりが輝ける学校教育の推進」については、
指導主事をはじめ、教育活動支援講師、特別支援教育支援員のほか、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーなどの専門人材を配置し、学習環境の改善・向上のほか、登校しぶりなどの児童生徒の困り感に寄り添う取組みを推進します。また、学校 DX 関係では、計画的に学習用端末の更新を進め、情報活用能力の育成とデジタル教材の効果的な活用などにより基礎学力の定着を図ります。学校施設の改善では、空調等設備の整備、学校給食では、食材料費高騰分への継続支援のほか、教職員住宅の整備に着手します。 新学校給食センターの整備では、建設地である斜里中学校旧校舎の解体工事などを実施し、公設民営方式による円滑な事業推進を図ってまいります。
さらに、学校のコミュニティ・スクール活動を推進し、地域と学校の関わりをより充実させる取組みを支援していくほか、斜里高等学校については、「知床学」などの特色ある教育活動、遠距離通学者への助成や進学・キャリアアップ事業、地域みらい留学など高校の魅力づくりのための支援策を継続してまいります。
2 点目の「つながり学びあう社会教育の推進」については、
豊かな自然環境やその恵みを受けた産業などの地域資源を最大限に活用し、各社会教 育施設で行われる町民の生涯学習活動を通して、人材育成を進めます。また、幅広い世代の学び合いや仲間づくりの機会の提供など、「つながり」を意識した交流を通じ、学習活動の充実に努めてまいります。
公民館においては、少年期から高齢期など様々な世代に応じた学習機会や、講座等の開催を通じて、地域の課題を共有し、解決に向けた取組みを図るなど、生涯学習拠点となる公民館運営を進めてまいります。
また、斜里町スポーツ推進計画に基づき、幅広い世代がスポーツでつながる活動の推進を図るとともに、各体育施設の修繕や設備更新を進めるほか、健康づくりの意識向上に向けた取組みを推進します。さらに、学校部活動の外部講師を支援し、地域で支える仕組みづくりを進めてまいります。
図書館の運営では、引き続き地域とつながる図書館運営を進めるとともに、「学びの場・憩いの場・交流の場」として機能させ、子どもからお年寄り、外国人など多くの町民に親しまれる施設づくりを推進します。
また、博物館における活動や講座を通して、町民をはじめとした多くの方々や子ども達が、地域の自然や歴史の価値を学ぶ取組みのほか、施設のリニューアルに向け、町民検討組織と連携し、推進してまいります。
基本目標6 「協働と交流で繋がりつづけられるまち」についてでありますが、
1点目の「情報共有、協働と参加でともに築くまち」については、
町民の参加体制推進では、町民憲章の精神である「みんなでまちをつくる」に基づき、 幅広い世代によるまちづくりへの参加と協働のための人づくりを推進します。
地域コミュニティ推進では、活動の推進を目的に協働によるまちづくり推進事業などにより、各自治会及び自治会連合会への支援を継続して行います。
2 点目の「国内外との交流、連携で築くまち」については、
道内大学との政策立案等での連携、テレワーク受け入れや連携協定に基づく企業との連携、斜里町独自の強みである「しれとこ 100 平方メートル運動」や地域ブランディングを通じた人的つながりなど、これまでの取組みを基盤としながら、関係人口の拡大を図り、その人的財産を活かした持続可能なまちづくりを進めます。
3 点目の「効率的で健全な行財政の運営」については、
引き続き業務手順や内容の点検、見直しを行い、デジタル技術の活用も視野に業務の効率化をめざします。先行する窓口手続きに関しては、総合案内の採用とデジタルツールの導入等により、町民、職員双方にとって喜ばれる行政窓口を目指します。
その他、令和 7 年度は総合行政システムの標準化、ガバメントクラウドへの移行年とされているため、移行作業を進めます。また、多くの分野で人手不足が進み、働き方改革が 求められることから、公共サービスの維持に必要な人材確保に向けた取組みを積極的に進め、既存職員についてもこれからの時代に求められるデジタル分野等におけるリスキリング機会の充実を図ります。
3.令和 7 年度の財政運営
斜里町の財政運営については、人口減少など新たな課題や、公共施設の老朽化への対応、さらに物価高騰による固定費の増等、歳出規模の増加が見込まれる状況の中、デジタル技術の活用等で業務の効率化を図り、経常経費の抑制に努めてまいります。
歳入においては、現年度税収入額の確保はもとより、納期内納税者との公平性の観点から、引き続き滞納額圧縮に向けた滞納処分を迅速に取り組み、更には固定資産税の相続財産清算人制度を活用し、収納率の向上と町税の適正な賦課に努めてまいります。
加えて、個人版、企業版ふるさと納税のさらなる拡充に取り組むとともに、観光施策に特化した安定的な財源として、新たに入湯税超過課税を導入します。
令和 7 年度の一般会計予算は、総額では 120 億 205 万 7 千円、前年度比較では 13.9% 増、4 特別会計、3 企業会計を合わせた総額は、189 億 9,947 万 6 千円(同 8.5%増)となりました。
主な投資的事業につきましては、昨年度からの継続費での実施としています「新学校給食センター整備事業」に着手する他、「産業会館」、「道の駅しゃり」におけるエアコン整 9 備、多くの公共施設で直面しています老朽化への対応として、関係事業費を計上したところです。
次に特別会計は、国民健康保険事業特別会計他 3 特別会計で、31 億 9,975 万 3 千円、 前年度比較では 1 億 5,160 万円、率では 4.5%の減額予算となりました。
また、企業会計では、病院事業、水道事業、公共下水道事業の3会計で、37 億 9,766 万 6 千円、前年度比較では 1 億 7,145 万 4 千円、率では 4.7%の増額予算となりました。
新年度予算の特徴については、町民税収入は、個人町民税で 9 億 3,729 万 9 千円(前年度比 1 億 3,663 万 6 千円増)、法人町民税で 1 億 2,966 万円(同 1,131 万 6 千円増)、固定資産税では 7 億 3,244 万 3 千円(同 1,331 万 1 千円増)計上しています。
また入湯税では、コロナ禍や海難事故以降、入込状況は未だ回復に至っておらず、前年度は当初見込みを大きく下回る結果となりましたが、新年度は、新たに観光振興財源として超過課税の導入を予定していることから、7,543 万 6 千円(同 1,975 万 9 千円増、超過 課税分 2,821 万 5 千円)を見込み、町税全体では 20 億 9,835 万 8 千円(同 1 億 8,107 万 円、9.4%増)計上したところです。
次に地方交付税について、令和 6 年度当初予算と比較し、まず「普通交付税」では 36 億 8,000 万円(同 8,154 万 5 千円、2.3%増)、特別交付税は 2 億 3,320 万円(同 350 万円、 1.5%増)と見込む一方、「臨時財政対策債」は、制度創設以来、初めて発行額がゼロ(同 △1,564 万 4 千円、皆減)となり、地方交付税と臨時財政対策債の合計では 39 億 1,320 万 円、前年度比 6,940 万 1 千円、1.8%の増を見込んでいます。
財源対策として、財政調整基金の調整資金から 5 億 3 千 7 百万円と減債資金から 9,100 万円を繰り入れることとし、前年度比では、4 億 200 万円の増を計上しています。
繰り返しになりますが、斜里町を取り巻く社会情勢は、流動性、不確実性を増しており、持続可能なまちづくりを行う上でも、安定した財政基盤の確立を着実に進める考えであります。
4.むすびに
以上、令和 7 年度の町政執行方針を述べさせていただきましたが、社会背景が大きく変化する中で、機能しなくなった既存の仕組みや枠組みを新たなものへ置き換える内容の事業や、もはやこれ以上先延ばしできないほど老朽化した施設の更新事業などが多く含まれます。私たちを取り巻く環境は厳しさを増す状況にありますが、第 7 次斜里町総合計画の基本テーマのとおり、「持続可能なまちづくり」に町民の皆さんと共に取り組んでまいります。
むすびに、斜里町を築き上げてきた多くの先輩のみなさまに、心より敬意を表し、さらに次の世代へ胸を張って引き渡すことができるよう、3 年目の町政運営に取り組んでまいりますので、町民の皆様と町議会の皆様に、ご理解とご協力をお願い申し上げ、令和 7 年度の町政執行方針といたします。
令和 7 年 3 月 6 日 斜里町長 山内 浩彰
更新日:2025年03月18日