令和6年度町政執行方針

更新日:2024年03月07日

1.はじめに

 令和5年斜里町議会定例会3月定例会議にあたり、町政執行の基本的な方針と主要な施策につきまして、私の所信を申し上げ、町議会議員並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 さて、令和6年の幕開けは、元日午後「令和6年能登半島地震」、翌日の羽田空港にお ける日航機と海上保安庁の航空機との衝突事故と、新年早々大きな自然災害と事故に見舞われ、心の晴れない中でのスタートとなりました。平穏な日常というものが何にも代えがたいものであることと、普段から災害に対する備えの大切さを再認識し、暮らしの安全安心を私が先頭に立ちながら地域の皆さんと共に守っていくことをあらためて決意したところです。

 一方世界情勢に目を向けてみると、ウクライナやパレスチナにおける紛争は未だ終息の見通しが立たないばかりか、ますます不安定さを増しており、食料や物資の調達、物流への影響など直接的間接的に国際経済に負の連鎖をもたらし、私たちの生活へ大きな影響を与え先々の不安を助長させているところです。

 こうした中、昨年の斜里町の産業は、農業生産高では一昨年に続き120億を超え、漁 業ではサケの水揚げが2年連続日本一になるなど、豊穣・豊漁に一安心したところですが、 生産資材や燃油の高騰など手放しで喜べる状況でないことも事実であります。 国内外の社会情勢が不透明感を増す中で、令和6年度は特に物流や医療現場における働き方改革がスタートすることから、このことも含めさまざまな情勢に応じ、柔軟かつ時機を逃すことのない町政運営を心がけていく所存であります。

 令和6年度は、町民の皆様とともに議論を重ね一緒に作り上げた「第7次総合計画」の スタートの年であり、この総合計画の基本テーマである「みんなで一緒にとりくむ、持続可能なまちづくり」の実現に向け、それぞれ掲げた目標を達成するために最後まで精一杯 事業を推進してまいります。
 今年度の実施事業については、新たに始まるこれからの10年の羅針盤となる第7次総合計画の6つの基本目標に沿って項目整理しており、中でも特徴的な内容では、昨年の猛暑を踏まえた学校等公共施設におけるエアコン整備や子育て環境の支援として図書館を利用した「斜里まなび場実施事業・図書館みらいキャンパス実施事業」を新規事業として実施いたします。また、全町的な担い手不足の傾向を踏まえて、移住定住対策を含めたさらなる関係人口の創出対策に取り組んでまいります。さらに、ふるさと応援基金活用事業として、環境教育・パークゴルフ場整備・仲よしクラブの情報通信機器整備などの新規事業を含め52事業に取り組みます。1市5町での一般廃棄物処理の広域化に向けた取り組み、新たな学校給食センター整備に向けた基本構想策定に着手する他、今後のまちづくりのため、ふるさと納税の拡充を含め、多様な自主財源の確保も併せて進めてまいります。
 なお、令和6年度は知床国立公園指定60周年、令和7年度には世界自然遺産登録 20 周年を迎え、2 か年にわたり、各種記念事業が予定されています。地球温暖化から地球沸騰化時代が到来したといわれた昨年の状況は、特別なものではないと考えなければなりません。私たちの町づくりの基本理念である「みどりと人間の調和を求めて」をあらためて 町民一人一人が心に刻む機会となるよう機運を醸成してまいりたいと考えております。

 目まぐるしく変化する社会情勢、世界の動き、出来事が、時を待たずして私たちの暮らしに影響を及ぼす時代となり、まさに大きな時代の転換期にあるといえます。これまでも幾度となく訪れた時代の転換期を私たちの先人たちは、みんなで知恵を出し合い、力を合 わせ困難を乗り越え、新たな時代を築き、今に繋げて来ています。今を生きる私たちも次の時代につなげるため、町民の皆様の声を聴き町民の皆様に丁寧に伝え、信頼関係をさらに強くしながらまちづくりを進めていく所存です。

 

 斜里町は、基幹となる農林漁業の1次産業と、商業・観光業の人間の営み、太古から続く豊かな自然とが共生し、他にも引けを取らない魅力的な地域です。「みどりと人間の調和を求めて」を体現し、自信と誇りを持てるまちづくりをみんなで進められるよう努力していきます。

 以下、令和6年度の執行方針について、具体的に示してまいります。 

2.令和6年度の事業展開

基本目標1 「自然と共に生きつづけられるまち」についてでありますが、

  1 点目の「自然と人が共生する豊かな環境づくりの推進」については、ヒグマの人身事故を未然に防ぐため、電気柵の増設などウトロ市街地におけるヒグマ対策を強化します。また、有害鳥獣による農作物被害の抑制のため、捕獲に必要となるライフル銃取得の補助事業に取り組みます。
 また、ゼロカーボンパークの実現に向けて、自然環境への影響緩和、二酸化炭素排出抑制の観点から、多客期における知床自然センターからカムイワッカ地区までのシャトルバス運行等について、関係機関と連携し取り組みます。
さらに令和 6 年度は、知床国立公園指定から 60 周年、また、令和 7 年度に世界自然遺産登録から20 周年を迎えることから 2 か年にわたって関係機関、企業とも連携を図り記念事業を推進し、知床の自然の魅力を広く発信します。

 

2 点目の「持続的発展が可能な脱炭素社会づくりの推進」については、脱炭素社会の実現に向けて、町立学校児童を対象に環境教育に取り組む他、各種イベン ト等において、地球温暖化や脱炭素の現状と課題について周知・啓発を行います。 また、公共施設への再生可能エネルギーの導入に向けて、引き続き、有利な補助金等の情報収集に努めます。 さらに、一般廃棄物広域処理施設整備に向けた事業を進めつつ、町内における生ごみ等の減量化推進にも努めてまいります。

 

基本目標2 「産業が安定しつづけるまち」についてでありますが、

1 点目の「魅力と活力にあふれた次世代農業の実現」については、農業における生産基盤の保全と整備を推進する一方、デジタル技術を導入したスマー ト農業やハイテク農業を目指し、さらなる生産性の向上と、担い手不足・人材不足に対応した農作業の効率化を図るとともに、将来の安定的な地域農業のために必要な「地域計画」の策定を進めます。また、道営事業による幹線道路の整備に着手するべく、斜里峰浜1号道路の設計に着手します。

 

2 点目の「豊かな自然環境とともにある漁業と林業」については、漁業では、町内3漁港の適正維持に必要な整備や保全を進めるとともに、鮮度保持施設の整備により付加価値向上を図りつつ、サケマスの資源維持や、浅海資源の活用、増養殖の可能性について検討します。また、サケ日本一のまちのPRや釣り客を中心とした海浜利用適正化に向けたローカルルールの確定版の運用を図ってまいります。林業では、適正な時期をとらえた町有林の森林施業に努め、民有林においても森林環境譲与税を活用した森林施業を促進していきます。 

 

3 点目の「魅力的で持続可能な選ばれる観光地づくりの推進」については、観光入込客は、全国的にはコロナ禍からの回復が進む中、知床においては海難事故以降伸び悩んでいるところであり、地域全体で観光アクティビティの安全管理体制を構築し、 自然体験型の観光のリスクを見直す場として知床アクティビティリスク管理体制検討協議会での議論を踏まえた情報共有の仕組み作りが急務です。また、インバウンド対応では 観光客へのマナーとおもてなしなど、受け入れ側のあり方を検討しつつ、課題となってい る「観光客の足(交通)の確保」について、地域での利用を含めた体系づくりを図るため、 今後策定予定の第2期地域公共交通計画と連動した自家用有償運送の枠組みを検討します。
 また、地域プラットフォームを基軸とする産業連携に着手し、株式会社化と自立化を促すため、支援体制と連携事業の再構築を進めます。

 

4 点目の「農林漁業と町民生活を支える自主的で活力のある中核的役割の推進」につい ては、農林漁業の各種生産物の取扱い等を中心とする商工業にあっては、経営環境に対応し、 地力を強化していくことが重要です。個々の事業所においては、ビジネスサポート事業の活用により、専門家の経営サポートを得ながら、素材を生かし、ブランド化を含めた高付加価値化によって商品力の底上げを目指しつつ、販売力の向上に向け、ふるさと納税の仕組みの活用を促進し、地域プラットフォームとの連携を図ります。また、将来に向かって、飲食店をはじめとする不足業種の顕在化が見込まれます。後継事業者の確保に向けた取り組みを検討します。

 

5 点目の「将来の斜里町産業の基盤づくりの推進」については、高齢社会の中にあって、社会自体の下支えをする人材不足の状況は、業種・業界を問わず急速に顕在化しており、担い手の確保と育成が急務となっています。農業・漁業・観光が盛んな土地柄を生かしつつ、交流人口の多い特長と絡め、移住も含めた交流の推進につながるよう、外部や業界間の連携を模索します。

 

基本目標3 「安心して住みつづけられるまち」についてでありますが、

  1 点目の「快適に暮らせる住環境の整備」については、町内における都市機能の整備として、各種長寿命化事業については、道路では都市計画区域内の9路線の整備をはじめ、橋梁1橋の修繕と2橋の設計を行なうほか、公園施設の整備では、ふるさと応援基金を活用しながら、光陽公園の遊具の更新を進めます。
 民間住宅では、子育て世帯や中古住宅購入に合わせたリフォームに対する「快適住まいのリフォーム事業制度」を継続し、空き家対策では、策定した空き家等対策計画に基づき、空き家対策連絡協議会での協議のもと、運用を図ってまいります。
郊外の町道整備では、ウトロ環状道路の整備をはじめ、産業用道路としての中斜里 6 号道路のほか、以久科豊倉6号道路の整備と峰浜1号道路の測量調査を行い、道路スト ック総点検に基づいた計画的な保全として道路性能の回復を図ってまいります。 
冬期道路交通の確保については、降雪状況に応じた効率的な除排雪に努めるとともに、 国道、道道の各管理者との連携強化に努めてまいります。 都市計画区域においては、今後の公園・街路・下水道等の都市計画事業の骨格となる都市計画マスタープランと立地適正化計画を、第7次斜里町総合計画のスタート以降順次策定します。

 

2 点目の「快適に暮らせる社会基盤の整備」については、高齢者等の外出支援として、バス・ハイヤーの利用助成や市街地巡回バス事業などを引き続き取り組むほか、昨年実施した「AIを活用した乗合タクシー実証運行」の結果を踏まえ、地域性・効率性・利便性の視点などから、今後の地域公共交通のあり方について検討を進めます。
 その他、町営住宅については、町営住宅等長寿命化計画に基づき、光陽東団地の改修事業を進めるとともに、オホーツク斎場については、老朽化している火葬炉設備の修繕を行います。

 

3 点目の「くらしを守る上下水道の整備」については、下水道事業特別会計は、令和6年度から公営企業会計としての運用を開始し、町民の生活に密接にかかわる重要インフラとして、引き続き健全経営と安定的な運営に努めます。
 水道事業では、安全で安定した飲料水の供給を行うため、配水管布設替工事を引き続き実施し、浄水場等施設の適正な維持管理に努めるほか、無水地区における飲料水安定確保のため、各戸の生活用水施設に必要な支援をしてまいります。また、令和7年度に 向けて上水道・簡易水道を対象とする検針自動化のスマートメータを導入し、使用量の お知らせのWebサービス化による人材不足への対応を図ります。
 汚水処理事業については、公共下水道未整備地区の解消工事を実施するとともに、処理場等施設の適正な維持管理に努めます。また、合併浄化槽の普及促進についても設置に必要な支援策を継続してまいります。

 

4 点目の「安全・安心を守る防災体制が充実したまち」については、地域防災計画の実効性を高めるため、補完する各種計画やマニュアルの整備、見直しを進めます。

 

5 点目の「消防・救急体制の充実」については、災害発生時に重要な設備である消防指令システムの維持管理に努め、次期更新に向けて更なる効率的な運用方法を検討し、迅速な出動体制を図ります。また、今年度はウトロ分署庁舎を改修し、救急隊員等の各種感染症への対策を強化します。 消防車両の充実については、ウトロ分署のはしご車を更新し、現場活動の効率化を図ります。 消防水利については、消火栓を新設し充足率の向上を図ります。また、老朽化した消火栓を更新し消防水利の維持管理に努めます。 地域住民に最も身近な存在である消防団については、消防団を中核とした地域防災力を充実強化するため、装備や訓練などの充実を図り、消防団活動の活性化を進めてまいります。

 

基本目標4 「自分らしく健やかに暮らしつづけられるまち」についてでありま すが、 

1 点目の「地域の医療が充実しているまち」については、「2025 年問題」や「働き方改革」等、さまざまな課題がある中、持続可能な地域医療体制の確保は喫緊かつ最重要課題であり、国保病院の医師をはじめとする医療従事者の確保・適正配置に向けて、引き続き旭川医大・北大・札幌医大などの医育大学・関係機関との連携、さらには民間紹介事業者の活用も図りながら、体制整備に向けた取り組みを積極的に努めてまいります。
 また、地域連携室を中心としながら、町内外の地域センター病院及び専門病院との連携強化により、町民が安心して受診できる地域医療体制の維持を図ります。 さらに、国保病院の経営安定化に向けましては「経営改善に向けた緊急的な取り組み」 を継続しつつ令和 4 年 3 月に国が策定した「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」に基づく「経営強化プラン」の策定を進めてまいります。  

 

2 点目の「みんなで健康づくりこころもからだも元気なまち」については、町民の健康意識を高め、生活習慣を改善できるよう生涯を通じた健康づくりを支援します。
 この他、国の全世代対応型の持続的な社会保障制度の検討を見据えて、周知広報に努めるとともに、高齢者インフルエンザ等の助成事業に加えて新型コロナウイルス予防接種の支援事業にも取り組みます。

 

3 点目の「お互いを思いやり支えあいながら心かようまち」については、少子高齢化が進む中、自治会活動等の住民同士が支え合う共助や協働の取り組みが重要であることから、地域共生型交流拠点事業を推し進めます。また、複雑化・複合化した課題について、包括的な相談対応やアウトリーチ、社会参加支援等の支援体制を充実させ、「地域共生社会の実現」に向け、取り組みを進めてまいります。

 

4 点目の「未来につなぐ子育て・子育ちのまち」については、子育て支援策として、保育人材の確保により早期の待機児童解消を目指します。また、 子育て支援センターのぽると21内への集約化工事が完了したことから、専門性を活かした妊娠期から子育て期の切れ目の無い支援を展開し、高校生までの医療費の無償化事業の 継続等、子育て支援の充実を図ります。合わせて、コロナ禍で縮小されてきた子どもの体験活動についても様々な機会を活用し取り組みます。

 

基本目標5 「生涯を通じて自分らしく学びつづけられるまち」についてでありますが、教育長から「教育行政執行方針」が示されますので、私は教育行政を支援する立場から主要な事項について申し上げます。 それでは、この分野の具体的な事業展開について、以下大きく 2 点に分けて申し上げます。

 

1 点目の「一人ひとりが輝ける学校教育の推進」については、指導主事をはじめ、学力支援講師、特別支援教育支援員のほか、スクールソーシャルワ ーカー、スクールカウンセラーなどの専門人材を配置し、学習環境の改善・向上や不登校児童・生徒に対する取組を支援します。また、学校 ICT 関係では、基礎学力の定着に向けた学習用端末やデジタル教材の有効活用、学校施設の改善では、冷房設備の整備、学校給食では、食材料費高騰分への支援のほか、新学校給食センターの基本構想の策定に着手し、 公設民営方式による整備に向けた取組を進めてまいります。
 さらに、町立学校のコミュニティ・スクールを推進し、地域と学校の関わりをより充実させる取組を支援していくほか、斜里高等学校については、「知床学」などの特色ある教育活動、遠距離通学者への助成や進学・キャリアアップ事業、地域みらい留学など、高校の魅力づくりのための支援策を継続してまいります。 

 

2 点目の「つながり学びあう社会教育の推進」については、豊かな自然環境やその恵みを受けた産業などの地域資源を最大限に活用し、各社会教育施設で行われる町民の生涯学習活動を通して、人材育成を進めます。また、幅広い世代の学び合いや仲間づくりの機会の提供など、交流を通じた学習活動の充実に努めてまいります。 公民館においては、生涯各期に合わせた講座の実施等、生涯学習の充実を図るとともに、 幅広い世代の主体的な学習活動等を促進することで、地域と一体となった公民館活動を進めてまいります。 また、斜里町スポーツ推進計画に基づいた生涯スポーツの推進を図るとともに、各体育施設の修繕や設備更新を進めるほか、健康づくりの意識向上に向けた運動の普及を推進し ます。 図書館の運営では、引き続き町民参加型の図書館運営を進めるとともに、「学びの場・ 憩いの場・交流の場」として機能させ、町民に親しまれる施設づくりを推進します。 また、博物館における活動や講座を通して、町民をはじめとした多くの方々や子ども達が、地域の自然や歴史の価値を学ぶ取組を推進してまいります。 

 

基本目標6 「協働と交流で繋がりつづけられるまち」についてでありますが、

1点目の「情報共有、協働と参加でともに築くまち」については、町民の参加体制推進では、町民憲章の精神である「みんなでまちをつくる」に基づき、 幅広い世代によるまちづくりへの参加と協働のための人づくりを推進します。
 地域コミュニティ推進では、地域活動の主体である自治会において、少子高齢化により、 コミュニティ参加の低下が懸念されていますが、近年の自然災害の頻発など、非常時の対応が増えている状況では、住民同士が支え合う共助や協働の取り組みの重要度はますます高まっています。そのことから、地域コミュニティ活動の推進のため、協働によるまちづくり推進事業などにより、各自治会及び自治会連合会への支援を継続して行います。

 

2 点目の「国内外との交流、連携で築くまち」については、40 年を迎えた友好都市弘前市との交流では、今年はアートによる「青少年交流事業」を実施します。また北海道大学公共政策大学院や北見工業大学との連携、企業との連携協定に基づく研修の受け入れ、テレワークやエリアブランディングなど、これまでの取組みを基盤としながら、「関係人口」の創出に向けて新たな分野にも事業の拡大を進めてまいります。

 

3 点目の「効率的で健全な行財政の運営」については、業務手順や内容の点検、見直しを行い、デジタル技術も活用し、業務の効率化をめざすとともに、窓口手続き等に関して町民目線での改善にも取り組みます。その他、令和 7 年 度が目標とされる標準準拠システムへの移行準備を進め、一層の行政サービスの変革に取り組みます。 また、多くの分野で人手不足が進み、働き方改革が求められることから、公共サービス の維持に必要な、専門職をはじめとした人材確保に向けた取組みを積極的に進め、職員一 人一人の能力を高める研修の充実を図ります。  

3.令和6年度の財政運営

 斜里町の財政運営については、物価高騰を含めた歳出規模の増加が見込まれる状況の中、 これからの急激な時代の変化に対応するため、財政基盤の強化が必須であります。デジタル技術の活用等で業務の効率化を図ることによって、経常経費の抑制を引き続き進めてまいります。


 歳入においては、現年度税収入額の確保はもとより、納期内納税者との公平性の観点から、引き続き滞納額圧縮に向けた滞納処分を迅速に取り組み、更には固定資産税の相続財産清算人制度を活用し、収納率の向上と町税の適正な賦課に努めてまいります。 加えて、ふるさと納税のさらなる拡充に取り組むとともに、観光施策に特化した安定的な財源として、北海道の動きを注視しつつ宿泊税の導入に向けた協議を進め、自主財源の確保に努めてまいります。

 

 令和 6 年度の一般会計予算は、総額では 105 億 3,351 万 9 千円、前年度 6 月補正後比較 9 では、7 億 6,826 万 2 千円。率では 7.9%の増額予算となりました。
本年度の主な投資的事業につきましては、昨年度からの継続費での実施としています 「学校長寿命化事業(朝日小学校長寿命化改良事業)」をはじめとして、学校施設(冷暖房設備)整備事業に着手する他、多くの公共施設で直面しています老朽化への対応を、公共施設等総合管理計画に基づき、長寿命化や設備の更新などに取り組むべく、関係事業費を計上したところです。


 次に特別会計は、国民健康保険事業特別会計他 3 特別会計で、33 億 5,135 万 3 千円、 前年度 6 月補正後比較では 6 億 966 万 1 千円、率では 15.4%の減額予算となりました。


 また、企業会計では、病院事業会計と水道事業会計に公共下水道事業会計を加えて、36 億 2,621 万 2 千円、前年度 6 月補正後比較では 13 億 6,641 万 6 千円、率では 60.5%の増 額予算となりました。特別会計及び、企業会計におけるこの大きな増減要因は、本年度から公共下水道事業特別会計については、公営企業会計方式へ移行したことによるものであります。


 新年度予算の特徴については、まず町民税収入は、農業・漁業ともに生産額が堅調で、 官公庁や団体などの所得増加もあり、3.2%増を見込んでいます。
固定資産税は、住宅建築減少の影響や、標準宅地および路線価の見直しにより微減です が、入湯税では、国内外からの観光客の回復を見込み、町税全体では対前年比 1.45%増の 予算を計上しています。


 次に、「普通交付税」及び「臨時財政対策債」についてですが、国の地方財政計画では、 地方の一般財源総額については 1.0%増額するものとされており、交付税財源となる所得税や法人税などの国税 4 税は前年度並みの見込みです。そのうち所得税の定額減税に伴う 減収分は、国税収入の上振れによる繰越金や自然増収により対応することとされているこ とから、普通交付税では増額の一方、臨時財政対策債では減額が見込まれており、新年度 予算ではこれらを反映したものとしております。


 また、「特別交付税」については「地域おこし協力隊」や「地域プロジェクトマネージ ャー」「地域活性化起業人」などの交付税対象事業に取り組むことから増加を見込み、普通交付税と特別交付税総額では前年度 6 月補正後予算比で 1.3%の増額、臨財債と合わせ ると同じく 0.6%の増額として計上しております。 繰り返しになりますが、斜里町を取り巻く社会情勢は、流動性、不確実性を増しており、 持続可能なまちづくりを行う上でも、安定した財政基盤の確立を着実に進める考えであります。 

4.むすびに

 以上、令和6年度の町政執行方針を述べさせていただきましたが、今年度は、第7次総合計画の計画初年であります。基本テーマである「みんなで一緒にとりくむ、持続可能なまちづくり」を念頭におきながら、6 つの基本目標を達成すべく、個々の施策に取り組んでまいります。

 また、第 7 次総合計画では、実現のために部課が横断的に連携して取り組むことが必須となる施策については、連携施策と位置づけ、重点的に取り組んでいくこととなります。 これらの施策は、町民の皆様と斜里町にかかわりのあるすべての皆様、斜里町を応援したいという多くの方々と一緒に進めるまちづくりの実施項目です。

 「このまちに住みたい」 「このまちに住み続けたい」と思えるまちづくりをみなさんと一緒に進めていきます。 少子高齢化、人口減少、人材不足、地方を取り巻く環境は厳しさを増す状況にありますが、斜里町にはまだまだ伸びる要素が沢山あります。多くの可能性の芽を育て成長させ、 次の時代へつなげていくスタートの年としていきます。

 むすびに、古くからこの地に根を下ろし、幾多の苦難を乗り越えてきた先人の方々、めまぐるしい変化に対応し近代斜里町を築き上げてきた多くの先輩のみなさまに、心より敬意を表し、私たちが受け継いだ「緑のバトン」を次の世代へ胸を張って引き渡すことができるように、町民の皆様と町議会の皆様に、ご理解とご協力をお願い申し上げ、令和6年度の町政執行方針といたします。

令和6年3月7日 斜里町長 山内浩彰

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